医療・介護の安全保障を推進する民間会議~10周年記念国際シンポジウム~に出席しました。

医療・介護の安全保障を推進する民間会議~10周年記念国際シンポジウム~に出席しました。
今回は「平和と多文化共生・連帯 歴史から学び、提唱を」をテーマに開催されました。冒頭、国際医療福祉大学大学名誉教授の水巻中正先生よりご挨拶がありました。続いて私からもご挨拶を申し上げました。
特別講演では、元駐瀋陽総領事、元駐パプアニューギニア大使の松本盛雄氏より「日中間の理解と付き合い方」について、前衆議院議員の山崎摩耶先生からは「韓国の介護保険の発展と地域包括ケアの日韓連帯」、読売新聞東京本社編集員委員の猪熊律子氏より「認知症―「共生社会」の実現に向けて」と題してお話がありました。その後、シンポジウムでは「歴史から学ぶ」と題して、日本国際医療政策機構代表理事の青山国照氏、医療法人愛正会経営研究人材開発センター長の金川仁子氏、平和国際委員CEOの愈剛氏より指定発言がありました。最後、閉会の挨拶として、埼玉医科大学非常勤講師の大西正夫先生よりお話がありました。
私からはこんなお話をさせていただきました。
インバウンドも95%戻ったと聞いている。チャイナはこれからだと思うが、戻ってくると250%になるとも言われている。今後さらに海外との情報交換や人事交流ができることを楽しみに思っている。先日は上海や南京の方も来られて特養を見学をいただいたが、中国も少子高齢化で地域包括ケアを勉強したいというニーズがある。また、センサーやITの導入も見学された。これには、我々としても介護施設での事例を病院にも活かしていきたいという思惑もある。
実は、私の法人ではコロナ前から中国の甘粛省と連携して、日本の地域包括ケアを中国に持っていくことができないか、色々と情報交換を重ねてきた。中国における、医療やリハビリテーションの学会などでもプレゼンもさせていただく機会もあり、中国の方のプレゼンなども拝聴し、勉強をしています。そして、感じることは、住み慣れた地域でもって、コストを抑えながら、地域を守っていくというのは、日本だけに限らず、東アジアにおける共通の課題ではないかという事です。
これまで、中国、韓国、台湾、香港、シンガポールからも見学があり、例えば、ロシアからの見学の時は、物流などに興味をもっておられた。タイからの見学の時は、日本の介護の実践もみてみたいという声に答えた。そして、韓国からの見学の時は、慢性期や回復期のリハなどを中心に見て帰られた。総じて、海外の方々は日本の地域包括ケアを勉強したいと思っていることを実感している。医療・介護を通じた安全保障が重要であることにも繋がる。
これからは小児、高齢者、障碍者、産前産後ケア、孤独、孤立、引きこもり、虐待、いじめ、自殺対策、貧困対策など、地域にはたくさんの課題がある。これらをどのように地域に落とし込むかが重要。住み慣れた地域で最後まで幸せに暮らしていける共生社会をつくっていくこと。そして、その中に海外の方々を如何に取り組むかという流れである。イタリアの病院経営者の見学の際にいただいた質問では、「日本は移民を受け入れるのか」という質問があったのだが、イタリアの方からのアドバイスは「日本はやらない方が良い」であった。これは1つの失敗があったためである。給料を下げたことで差別化、反対運動、そこから自分たちの街が作られたという事例です。つまりは、外国人の労働環境を同じように設計していくべきとの教訓に繋がります。
我々の法人の中でも多くの外国人が働いています。そんな中で、職員が外国人に慣れてくると、ほっておいてしまう傾向があるのだが、これが良くないと思っている。最後までやさしく丁寧に接してあげることが、良い職場環境を作るポイントではないか。岡山にある法人では10か国ぐらいの外国人を雇用している話を聞いているが、やはり接し方が重要だと聞いている。
最後に、平和の話です。世界情勢も不安定で、直近ではイスラエルとパレスチナの騒動があった。まさかこんなことが起きるなんてと思ったところである。そんな時代に世界が我々に期待していることは何か。大きくは2つあり、1つは日本は唯一の被爆国だということ。世界に発信していくことが必要。もう1つは、自分の国は自分達で守ること。次の世代に伝えていくことだ。先般、武見先生も厚労大臣になったわけだが、UHCを促進して、医療介護を通じた安全保障を発信していくべきである。その意味でも民間会議が重要な意味を持つのではと感じている。