地球温暖化対策計画

地球温暖化対策計画とは、第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定を踏まえ、2016年5月13日閣議決定された我が国の地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するための計画で、地球温暖化対策推進法第8条に基づいて策定されます。温室効果ガスの排出抑制及び吸収の量の目標、事業者、国民等が講ずべき措置に関する基本的事項、目標達成のために国、地方公共団体が講ずべき施策等が記載されています。

環境省と経済産業省は7月26日、中長期の気候変動対策を示す新たな地球温暖化対策計画案を公表しました。計画の改定は5年ぶりです。

下図は、我が国における温室効果ガス排出量の8割以上を占める二酸化炭素排出量の部門別の推移および2019年度の部門別内訳を示したものです。





部門別に見ますと、産業部門(製造業)、運輸部門、業務その他部門(事務所ビル、宿泊・飲食業、小売業、医療等)及び家庭部門からの排出量はすべて減少傾向を辿っています(2019年度比2013年度▲17.0%減(産業部門)、同▲8.2%減(運 輸部門)、同▲18.8%減(業務その他部門)、同▲23.3%減(家庭部門))。

こうした中、今般の地球温暖化対策計画は、中期目標として2030年度、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに50%削減の高みに向け挑戦を続けていくことを宣言しました。
最大のポイントである二酸化炭素については、2030年度において、2013年度比約45%減の水準(約680百万t-CO2)にすることを目標にしています。

                                                (単位: 百万t-CO2)

 2013年度2019年度2030年度主要な対策
産業部門463384約290・省エネルギー性能の高い設備・機器の導入促進・業種間連携省エネルギーの取組推進・電化・燃料転換・徹底的なエネルギー管理の実施・中小企業の排出削減対策の推進
運輸部門224206約140・次世代自動車の普及、燃費改善等・道路交通流対策・公共交通機関及び自転車の利用促進・省エネルギーに資する船舶の普及促進・トラック輸送の効率化、共同輸配送の推進
業務部門238193約120・建築物の省エネルギー化・高効率な省エネルギー機器の普及・エネルギーの地産地消、面的利用の促進・ヒートアイランド対策による熱環境改善を通じた都市の低炭素化
家庭部門208159約70・住宅の省エネルギー化・高効率な省エネルギー機器の普及・HEMS・スマートメーター・スマートホームデバイスの導入
合計1,2351,029約680 



政府は10月末に始まるCOP26までに、地球温暖化対策計画を閣議決定する予定です。地球温暖化については、環境省はじめ経済産業省、国土交通省等関連省庁が多く、政策を推進していくには、司令塔がリーダーシップを発揮し、縦割り行政の弊害を排除しつつ問題点を洗い出し、緻密なタイムスケジュールに沿って進めることが求められます。エネルギー基本計画とも整合性を取りつつ、現在何を準備すべきか、大項目、中項目、小項目ごとにインディケータを設定した事業計画を作る、どこが司令塔になりどのようなことを行っていくか明確にすることが重要だと思います。