Ando Weekly 2022.1.9

政府では、人生100年時代を迎えライフスタイルが多様となる中、お年寄りだけではなく、子どもたち、子育て・現役世代の安心を支えていくため、働き方の変化を中心に据えながら、全世代型社会保障を検討しています。

全世代型社会保障に関しては、2019年9月20日に第1回全世代型社会保障検討会議が開催され、同年12月に中間報告、2020年6月に第2次中間報告、2020年12月14日に最終報告がとりまとめられました。

この間、年金、労働、予防・介護、少子化対策、医療について、それぞれ以下のような成果が上がりました。

●年金

項目

概要

法律

受給開始時期の選択肢の拡大

60歳から70歳まで選択可能な年金受給開始時期の上限を75歳に引き上げ

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」2020年通常国会

厚生年金(被用者保険)の適用範囲の拡大

厚生年金の適用対象とすべき事業所の企業規模要件を500人超から50人超規模まで段階的に引き下げ

在職老齢年金制度の見直し

60~64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、現行の28万円から65歳以上と同じ47万円に引き上げ

私的年金の見直し

私的年金の加入可能年齢を引き上げ

●労働

項目

概要

法律

70 歳までの就業機会確保

70歳までの就業確保措置(定年廃止、定年延長、継続雇用制度等)を導入する努力規定

雇用保険法等の一部を改正する法律」2020年通常国会

中途採用・経験者採用の促進

大企業に対し、中途採用・経験者採用比率の公表を求める。

兼業・副業の 拡大

「過重労働への懸念」や「労働時間の管理・把握の困難さ」を払拭する制度整備

雇用によらない働き方の保護

フリーランスについて、実態を把握・整理した上で、政策の方向性について検討

●予防・介護

項目

概要

法律

保険者努力支援制度の抜本強化

公的保険制度における疾病予防の位置づけを高める、保険者努力支援制度の抜本的な強化

2020年度予算

介護インセンティブ交付金の抜本強化

介護インセンティブ交付金の抜本的強化、交付金の配分基準のメリハリを実効的に強化

エビデンスに基づく政策の促進

データ等を活用した予防・健康づくりの健康増進効果等の確認、エビデンスを確認・蓄積するための実証事業

持続可能性の高い介護提供体制の構築

介護予防、「共生」・「予防」を柱とした認知症施策の推進、介護現場におけるロボット・ ICT の導入加速化、ペーパーレス化・効率化の推進

●少子化対策

項目

概要

法律

不妊治療への保険適用等

2022年度当初から不妊治療への保険適用を実施

子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律」2021年通常国会

待機児童の解消

2024年度末までに約14万人分の保育の受け皿を整備、児童手当について高所得の主たる生計維持者を特例給付の対象外

男性の育児休業の取得促進

出生直後の男性の休業取得を促進する新たな枠組みを導入

●医療

項目

概要

法律

医療提供体制の改革

医療計画に新興感染症等への対応を位置づけ、地域医療構想は基本的な枠組みを維持しつつ財政支援等を実施、医療機関が都道府県に外来機能を報告する制度を創設、紹介患者への外来を基本とする医療機関を明確化

全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」2021年通常国会

後期高齢者の自己負担割合

一定以上の所得を有する後期高齢者の医療費の窓口負担割合を2割に引き上げ

大病院の定額負担の拡大

紹介状なしで外来受診した場合に定額負担が必要になる医療機関の対象範囲を拡大

岸田総理は2021年10月8日、第205回通常国会の所信表明演説において、「…将来への不安が、消費の抑制を生み、経済成長の阻害要因となっています 。…大切なのは、どんな働き方をしても、セーフティーネットが確保されることです。 働き方に中立的な社会保障や税制を整備し、勤労者皆保険の実現に向けて取り組みます。人生100年時代を見据えて、子供から子育て世代、年寄りまで全ての方が安心できる、全世代型社会保障の構築を進めます 。」と述べられました。
これを受けて、全世代型社会保障構築会議が設置されました。同会議における議論については、次回ご紹介いたします。