地域医療を持続していける水準の改定率を要望していきたいと思います。
財務省は9月27日の財政制度等審議会において、1受診あたりの医療費(診療単価)が2019年から2022年にかけて年率+4.3%と「近年の物価上昇率を超えた水準で急増している」と指摘しました。
私は財務省の見解に対して、一面的な見であり、国民をミスリードするものだと考えています。以下のデータをご覧ください。
日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体は2023年10月10日、「2023年度病院経営定期調査」概要版を公表しました。
たしかに診療単価を見ると、2019年6月期を100%とした場合、入院単価は2023年の114.6%、外来単価も2023年の114.1%へと増加傾向を辿っています。
ただ、医療機関が安定して医療を提供していくためには、収益から費用を差し引いた利益が黒字である必要があります。この点、同じ調査から経常利益(コロナ補助金を除く)の推移を見ると、最近5年間一貫して赤字であり、赤字幅は2018年度の▲84,005千円から2022年度の▲188,086千円へと大幅に拡大してしまっているのです。
通常医療に関して言えば、医療機関の経営状況は悪化しつつあり、さらに物価高と賃金上昇圧力が追い打ちをかけています。これから診療報酬改定の議論が大詰めを迎えますが、地域医療を持続していける水準の改定率を要望していきたいと思います。