Ando Weekly 2021.11.28

政府は11月19日、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定しました。私も政調会長特別補佐の立場で、政調全体会議において専門的な見地から議論に参加させていただきました。

本経済対策で取り組む施策は以下の通りです。(社会保障関連に下線)
Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の拡大防止
1.医療提供体制の確保等
(1)医療提供体制の強化
(2)ワクチン接種の促進、検査の環境整備、治療薬の確保
(3)感染防止策の徹底

2.感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援
(1)事業者への支援
(2)生活・暮らしへの支援
(3)エネルギー価格高騰への対応
Ⅱ.「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え
1.安全・安心を確保した社会経済活動の再開
2.感染症有事対応の抜本的強化
(1)ワクチン・治療薬等の国内開発
(2)感染症の収束に向けた国際協力等
(3)新型コロナウイルス感染症対策予備費の適時適切な執行
Ⅲ.未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動
1.成長戦略
(1)科学技術立国の実現
① 科学技術・イノベーションへの投資の強化
② 2050 年カーボンニュートラルの実現に向けたクリーンエネルギー戦略
ア クリーンエネルギーへの投資
イ 国民のライフスタイル転換と企業の低炭素化支援等
③ 我が国企業のダイナミズムの復活、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援
(2)地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」
① テレワーク、ドローン宅配、自動配送、自動運転などデジタルの地方からの実装
② デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
③ 地方活性化に向けた積極的投資
ア 農林水産業の活性化
イ 観光立国の復活
ウ 文化芸術立国の推進とスポーツの振興
エ 中小企業等の足腰強化と事業環境整備
④ 地方交付税の増額
(3)経済安全保障
2.分配戦略 ~安心と成長を呼ぶ「人」への投資の強化~
(1)民間部門における分配強化に向けた強力な支援
① 賃上げの推進
② 労働移動の円滑化・人材育成の強力な推進
③ 働き方改革等による多様な働き方の推進、多様な人材の活躍などの支援
(2)公的部門における分配機能の強化等
① 看護、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入の引上げ等
② 「こども・子育て支援」の推進 
Ⅳ.防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保
1.防災・減災、国土強靱化の推進
2.自然災害からの復旧・復興の加速
3.国家の安全保障の確保を含む国民の安全・安心

さまざま議論された、看護師等の処遇改善については、「保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額 9,000 円)引き上げるための措置を、来年2月から前倒しで実施する。看護については、まずは、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、段階的に収入を3%程度引き上げていくこととし、収入を1%程度(月額 4,000 円)引き上げるための措置 を、来年2月から前倒しで実施した上で、来年10月以降の更なる対応について、令和4年度予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずる。」とされました。

看護師等の処遇改善は社会保障分野の底上げに資する非常に効果的な施策だと評価できますが、より公平感のある姿を目指して、私から次の2点を問題提案したいと思います。まず、医療機関の看護補助者と介護事業所の介護職(無資格)との賃金差が約5万円程度存在する点で、病院等からの離職率の高さにつながっていることが指摘されています。また、介護職に限ってみても、介護の療養病床(介護医療院)で加算される処遇改善が医療の療養病床には付与されておらず、病院が収益の中から支出せざるを得なくなっているという問題があります。
加えて注視しておかなければならないのは財源です。2022年度診療報酬改定の議論が本格化しつつありますが、看護師の処遇改善に係る財源が他の診療報酬項目を圧迫しないようにしなければならないと思います。