Ando Weekly 2022.1.23
政府では、人生100年時代を迎えライフスタイルが多様となる中、お年寄りだけではなく、子どもたち、子育て・現役世代の安心を支えていくため、働き方の変化を中心に据えながら、全世代型社会保障を検討しています。
先週は、2021年11月9日に第1回が開催された全世代型社会保障構築会議をご紹介しましたが、その下に、公的価格の在り方を検討するため、公的価格評価検討委員会が設置されました。
第1回の委員会では、公的価格の制度について整理が行われました。
1.報酬・価格の決まり方
(1)診療報酬及び介護・障害福祉サービス等報酬
報酬の設定に当たり、人件費に係る具体的な基準は設けられていません。
(2)子ども・子育て支援新制度
公定価格は費用の積上げ方式となっており、金額の設定に当たり、人件費が具体的に算定されています。
2.処遇改善の仕組み
(1)介護分野
介護職員全般の処遇改善を図る「介護職員処遇改善加算」と、介護現場におけるキャリア・ラダーの構築に向けて経験・技能のある介護職員(勤続年数10年以上の介護福祉士を基本)の処遇改善に重点化した「介護職員等特定処遇改善加算」が設けられています。
介護職員については、平成21年度から月額7.5万円(実績)の改善が図られてきました。
(2)保育・幼児教育分野
全職種の処遇改善を図る「処遇改善等加算Ⅰ」と、保育・幼児教育の現場におけるキャリア・ラダーの構築に向けて経験・技能のある保育士、幼稚園教諭、保育教諭等(副主任保育士・中核リーダー等)の処遇改善を図る「処遇改善等加算Ⅱ」が設けられています。
保育士については、平成25年度から月額約4.4万円(+最大約4万円)の改善が図られてきています。
3.費用負担
診療報酬は保険料6割・公費4割、介護報酬は保険料5割・公費5割、障害福祉サービス等報酬では公費10割、子ども・子育て支援新制度では原則10割公費(一部事業主拠出金あり)となっています。
公的価格評価検討委員会の報告書は、「処遇改善を行うに当たっては、全てを国民の負担に回すのではなく、・・・高齢化に伴って増加する医療・介護費の中での分配のあり方などを含め、幅広く検討を行うべき・・・財政措置を講じる前に・・・国民の保険料や税金が効率的に使用され、一部の職種や事業者だけでなく、現場で働く方々に広く行き渡るようになっているかどうか、費用の使途の見える化を通じた透明性の向上・・・、デジタルやICT技術、ロボットの活用により、現場で働く方々の負担軽減と業務の効率化を進めていくことも必要」と述べています。
本委員会では、こうした処遇改善に向けた政策手法を実現するため、費用の見える化やデジタル等の活用に向けた課題等が検討され、夏までに方向性が整理される予定です。引き続き、委員会での議論に注視していきたいと思います。