Ando Weekly 2022.4.24
国は「地域共生社会」の実現を基本コンセプトに掲げ、「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年6月2日閣議決定)や、「『地域共生社会』の実現に向けて」(2017年2月7日「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部決定)に基づいて、その具体化に向けた改革を進めています。
「地域共生社会」とは、制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すもの、と定義されます。
地域共生社会と似た概念として「地域包括ケアシステム」がありますが、これは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を送ることができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制(医療介護総合確保推進法2014年)と定義されています。
もともと高齢者から始まった地域包括ケアシステムが対象を拡げながら地域共生社会に発展したと捉えることもできますが、私は下図のように、地域共生社会というコンセプトがあり(地域共生社会には法的規定がありません)、それを支える制度として、地域包括ケアシステム、障害者自立支援制度、生活困窮者自立支援制度、地域子ども・子育て支援制度がある、と理解するのが正確で分かりやすいのではないかと考えています。
2019年12月26日に公表された、地域共生社会推進検討会「最終とりまとめ」では、「国等による財政支援は、介護、障害、子ども、生活困窮等の各制度における関連事業に係る補助について、一体的な執行を行うことができる仕組みとすべき」とされました。
私は国会議員時代、個別制度ごとの「縦割り行政」の弊害を訴え続けてきましたが、老健局と社会・援護局とがクロスすることはなかったと感じています。そこで、以下のような提言をしたいと思います。
提言1 高齢者だけでなく小さなお子さん、障害や精神科疾患を持った方、孤独・孤立・引きこもり、貧困で悩む方も含めた地域共生社会を実現するため、厚生労働省の中に横断的な組織を設置する。 提言2 全世代型の医療・介護・福祉による街づくりに向け、地域共生社会基本法を制定して国の指針を明確にする。 |