Ando Weekly 2022.3.20

日本医師会では「健康に関することを何でも相談でき、必要な時は専門の医療機関を紹介してくれる身近にいて頼りになる医師のこと」を「かかりつけ医」と呼んでいます。熱がある、体がだるい、食欲がないなど体調が悪いなと感じた時にまず相談する自宅近くの診療所や病院の医師のことです。

日本医師会・四病院団体協議会合同提言(2013年8月8日)は、「かかりつけ医機能」について、以下のように説明しています。

●かかりつけ医は、日常行う診療においては、患者の生活背景を把握し、適切な診療及び保健指導を行い、自己の専門性を超えて診療や指導を行えない場合には、地域の医師、医療機関等と協力して解決策を提供する。

●かかりつけ医は、自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師、医療機関等と必要な情報を共有し、お互いに協力して休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する。

●かかりつけ医は、日常行う診療のほかに、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行う。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるよう在宅医療を推進する。

●患者や家族に対して、医療に関する適切かつわかりやすい情報の提供を行う。

こうした「かかりつけ医機能」を評価するため、①高血圧症、②糖尿病、③高脂血症、④認知症の4疾病のうち、いずれか2つ以上の疾患を有する患者に対して、服薬管理や健康相談、介護保険に係る相談、在宅医療の提供や24時間対応等を行うことを包括的に評価するものとして、2014年度の診療報酬改定で「地域包括診療料・加算」が創設されました。

地域包括診療料・加算の算定状況を見ると、ここ数年、届出医療機関数・算定回数ともに頭打ち傾向を示しています。

そこで、2022年度診療報酬改定では、地域包括診療料等について、慢性疾患を有する患者に対するかかりつけ医機能の評価を推進する観点から、次の見直しを実施します。

●地域包括診療料等の対象疾患に、慢性心不全及び慢性腎臓病を追加する。

●患者に対する生活面の指導については、必要に応じ、医師の指示を受けた看護師や管理栄養士、薬剤師が行っても差し支えないこととする。

●患者からの予防接種に係る相談に対応することを要件に追加するとともに、院内掲示により、当該対応が可能なことを周知することとする。

上図は国が目指す外来医療のイメージですが、医療の受け手である患者さんが大病院にすぐに行かなくとも気軽に相談できる安心感を与えるような医療提供体制が求められます。