Ando Weekly 2022.3.27
政府では、人生100年時代を迎えライフスタイルが多様となる中、お年寄りだけではなく、子どもたち、子育て・現役世代の安心を支えていくため、働き方の変化を中心に据えながら、全世代型社会保障を検討しています。
岸田内閣の下、2021年11月に全世代型社会保障構築会議がスタートしました。2022年3月9日に開催された第2回全世代型社会保障構築会議では、まず「人への投資」の当面の論点として次の6つが示されました。
論点 |
キーワード |
男女が希望どおり働ける社会づくり・子育て支援 |
新子育て安心プラン 育児休業制度 仕事と子育ての両立 様々な事情を抱えた子ども・家庭 |
勤労皆保険の実現 |
厚生年金・健康保険の適用拡大 フリーランス・ギグワーカー |
女性の就労の制約となっている制度の見直し |
106万円・130万円の壁 女性に対する企業慣行 |
家庭における介護の負担軽減 |
大都市の介護ニーズ急増 介護休業制度 介護離職 認知症を抱える家族 ヤングケアラー |
地域共生社会づくりについて |
孤独・孤立 独居の困窮者・高齢者のすまい |
医療・介護・福祉サービスについて |
デジタル技術の活用 高齢・地域人材の活用 人材育成のあり方 医療・介護提供体制改革 |
各論点について議論されたことは、政府が6月に取りまとめる予定の「骨太の方針」に反映されます。
わが国は資源に乏しいだけに、「人への投資」という視点は何よりも重要だと思います。日本では1980年代半ば以降、非正規雇用の割合が高まり、相対的貧困率も上昇しました。日本が活力を取り戻すためには、働きたい人が思い切り働くことのできる環境を整備することが大切です。
わが国の社会保障政策をみると、地域包括ケアシステムは厚生労働省老健局が管轄し、主に高齢者を対象に医療と介護による街づくりを目指してきました。地域共生社会は厚生労働省社会・援護局が担当し、障害を持った子どもや精神疾患の方、孤立・引きこもり等、あらゆる世代を対象としています。私は、老健局や社会・援護局といった組織の垣根を越えて、全世代型の医療・介護・福祉による街づくりを展開していくべきである。そのためにも、地域包括ケア基本法ないし地域共生社会基本法のような指針が必要だと考えています。