Ando Weekly 2022.5.22

年度には、親から暴力を受けたり辛いことをされる虐待に関する相談や、いろいろな事情で学校に通うことができない子ども(不登校)が過去最高を記録しました。コロナ禍で悩んだり苦しい思いをしている子どもや若者もいます。また、生まれてくる子どもの数がすごく減っています(少子化)。少子化が続くと、これからの社会を支える人が減っていくことになり、社会全体を支えることが難しくなるのではないかということが心配されています。

そこで、子どもに関わる取り組みや仕事を、日本の社会の中心において(こどもまんなか社会)、子どもの目線で、子どもの権利を大切にして、すべての子どもがそのいのちを守られ、自分らしく健やかに安心して過ごすことができるように、政府は「こども家庭庁」という国の新しい組織を作る方針を出しました。

政府は、「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」(令和3年12月21日閣議決定)に基づき、令和4年2月25日に「こども家庭庁設置法案」及び「こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案」を閣議決定し、第208回通常国会に提出しました。

こども家庭庁のイメージは下図の通りです。

こども家庭庁の役割は次の通りです。

・小学校就学前のこどもの健やかな成長のための環境の確保及び小学校就学前のこどものある家庭における子育て支援に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進

・子ども・子育て支援給付その他の子ども及び子どもを養育している者に必要な支援

・こどもの保育及び養護

・こどものある家庭における子育ての支援体制の整備

地域におけるこどもの適切な遊び及び生活の場の確保

・こども、こどものある家庭及び妊産婦その他母性の福祉の増進

・こどもの安全で安心な生活環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進

・こどもの保健の向上

・こどもの虐待の防止

いじめの防止等に関する相談の体制など地域における体制の整備

こどもの権利利益の擁護(他省の所掌に属するものを除く)

こうした中、総務省は5月4日、「我が国のこどもの数」を公表しました。それによれば、2022年4月1日現在、日本における15歳未満の「子ども」の数は1,465万人で41年連続の減少となり、総人口に占める「子ども」の割合も11.7%と48年連続の減少を記録しました。

少子化に対しては国も様々な施策を講じてきていますが、それでも合計特殊出生率が1.36まで低下するなど厳しい状況が続いています。一億総活躍関連の会議等でも発言してまいりましたが、私は、子ども1人の出産に1,000万円の手当を支給する(地方移住して子育てする場合はプラス1,000万円)くらいの思い切った支援策を検討するべきではないかと考えています。年間の出産数が100万人まで増加しても予算は10兆円程度であり、日本の将来に向けた根幹的な投資と考えれば決して過剰とは言えないのではないでしょうか。

 

提言 子どもを産むモチベーションを上げる観点から、子ども1人の出産に1,000万円の手当を支給する。実際の導入に際しては、1人目、2人目、3人目で段階的に金額を引き上げる、100万円程度でスタートして効果を検証する等の工夫を凝らすことで、まず制度をスタートさせることを優先する。

 

(ご参考)

欧米の主要国の中で、経済的支援が最も手厚いと言われているのがフランスです。下図は、第1子誕生、2年後第2子誕生のケースを見たものですが、第2子が誕生する2年後には、フランスでは約71万円、日本では12万円と、約59万円の差が生じています。