Ando Weekly 2022.1.1

謹んで新年の御祝辞を申し上げます。

2019年末に中国武漢市で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生してから丸2年が経ちました。今この瞬間にも、コロナ対応に追われている医療従事者の方々が全国にたくさんいることに思いを馳せ、その献身に心より感謝いたします。

2022年は、いよいよ団塊の世代が75歳以上になり始める年です。「社会保障の質の向上」と「国民負担の軽減」という、ともすれば相反する命題に向けて、「メリハリのある診療報酬改定」や「効率的な医療提供体制の整備」等の難しい医療政策の舵取りが求められます。

年末に発表された新経済・財政再生計画の改革工程表には、社会保障分野の主要な取り組みとして、地域医療構想、診療報酬改定、かかりつけ医機能、後発医薬品の4項目が掲げられました。


私は、2017年に国政に参加させていただいて以来、政治はどうあるべきか、政治家はどうあるべきか、常に考えてきました。
一つは「聴く」こと。皆様が考えていること、話すことに耳を傾け、正しく理解することです。
二つ目は「考える」こと。皆様から伺ったご意見を咀嚼し、よく考えて、具体的な政策に落とし込むこと。
三つ目が「伝える」こと。何を考え、何を実行して、どのような結果になったのか、たとえ皆様に歓迎されないこと、不都合なことであっても、問題点をきちんと説明し、その先のビジョンを示し、理解してもらうことが大事だと思います。

そして、一貫してお話ししてきた政治理念は、子どもから現役・子育て世代、高齢者、障害や疾病を持った方々まで、すべての人が活き活きと仕事や育児、勉強に励み、生活を楽しむことができる地域共生社会、well-beingな世の中を実現することです。
今でも日日、国家国民の繁栄と幸福を願う心を胸に、政治に携わるものとしてのあるべき姿に向かって、全力を尽くす覚悟でおります。

こうしたなか、今年の具体的な政策テーマとして考えているのは、次の7点です。
●新型コロナ等の新興感染症にも対応した、安心できる医療提供体制の構築
新型コロナウイルス感染症に対して、私は自由民主党の医師をはじめとした医療系議員とともに、医療崩壊を起こさせないための戦略に関する提言を厚生労働大臣や党三役に行って参りました。地域医療の基本方針である医療計画にも感染症対策が明記されることになりました。
地域医療・介護を守る医療機関・介護事業所への財政的支援の継続、感染状況の把握・治療薬とワクチンの開発といった出口戦略について、医師会や病院団体等、介護団体とも連携しながら、具体的な提言を行いたいと考えております。

●医師の働き方改革や、看護・介護人材不足への対応
2022年度診療報酬改定において、「看護職員の処遇改善」として、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、10月以降収入を3%程度(月額平均12,000円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みが創設されることになりました。
介護報酬をみると、介護職の処遇改善が拡充されるにつれて、報酬の基本的な部分であるサービス費が削減されてしまったと指摘されています。診療報酬で同様のことが起きないように留意していきたいと思います。

●医療と介護と福祉を通じた街づくり・人づくり・想い出づくり
国民の皆様が、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にある「well-being(ウェルビーイング)」を感じられるよう、子どもから若者、子育て世代、現役世代、高齢者、病気や障害を抱える方々まですべての人が住み慣れた場所で安心して暮らしていける「地域共生社会」の実現に取り組んでいきます。
医療・介護・福祉を包括的にカバーする法案も視野に入れ、多くの議員の方々と問題意識を共有しながら議論していきたいと思います。

●適正な利益水準を確保できる公的価格のあり方
診療報酬について、借入金返済に加えて、建物や医療機器のメンテナンスコスト、建替え費用、災害等の不測の事態への備え、生産性向上のためのICT投資等も織り込んだ「適正な利益水準」を論点に挙げて、公的価格のあり方を考えていきたいと思います。

●医療・介護における消費税のあり方
控除対象外消費税については、診療報酬・介護報酬による対応と特別償却・税額控除により一応の決定をみました。類型別の配分状況の徹底した検証はもちろん、個別医療機関ごとのバラツキの解消に向けた抜本的な解決策について検討を続けたいと思います。
また、社会医療法人等の法人税非課税医療機関や、地域の救急医療や周産期医療に邁進して赤字の医療機関に対する税制措置も実効性のある制度を検討すべきと考えています。

●成育基本法の精神に則った子育て支援
私は、成育基本法の成立に当たって、「成育医療等基本法成立に向けた議員連盟」の幹事を務めさせていただきました。成育基本法は、子どもや保護者、妊産婦に対して必要な成育医療を切れ目なく提供することを目的にしています。
医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、気管切開部や人工呼吸器の管理,吸引,在宅酸素療法,胃瘻・腸瘻・胃管からの経管栄養,中心静脈栄養等の医療的ケアが日常的に必要な「医療的ケア児」が増えており、支援が求められています。障害福祉サービス等報酬における支援の充実を訴えるとともに、医療的ケア児向けの施設や在宅医療サービスを推進していきたいと思います。

●子どもの頃からの税と社会保障教育
私は、「税と社会保障」の教育を我が国の将来を担う子どもたちにしっかり行うことをライフワークにしております。わが国の社会保障制度は、経験したことがない少子高齢化社会に突入する中にあって、その持続可能性が問われています。確かな社会保障を次世代に伝えるのは大人の責務です。
子どもの時から社会保障制度の大枠を知っておくことは、生きる力の養成に欠かせません。人間は、幼年期、青年期、壮年期、中年期、高年期という人生の各段階において、様々なリスクに直面します。こうしたリスクをともに支え合い、若い世代の将来への不安を安心と希望に変えることこそが、社会保障の役割であり本質です。社会保障はいずれの世代にとっても負担ではありません。足許の困難をすべての人で分かち合い、未来の社会に協力し合うために社会保障制度が存在するのだと私は考えます。


新型コロナウイルスが世界に蔓延した2020年、2021年は、数十年後、数百年後の未来にどのように語られるのでしょうか。我々は今、まさにパラダイムシフトの真っ只中にいることを自覚すべきです。過去から現在の延長で未来を捉えるのではなく、あるべき未来から投影して今どうすべきか、皆様と一緒に考えていきたいと思っています。
虎は千里往って千里還る。私も精いっぱい駆け巡る所存です。本年もよろしく願い申し上げます。