Ando Weekly 2022.2.27

新聞等でよく目にする「診療報酬」とは、患者さんが保険証を提示して医師から受ける医療行為に対して、保険制度から支払われる料金を指します。診療報酬は医療の進歩や世の中の経済状況とかけ離れないよう通常2年に一度改定されます。次回改定は2022年4月になります。

中医協は2月9日、2022年度診療報酬改定に関する答申を報告しました。コロナ禍における改定の柱の一つは「感染防止対策」です。
医療機関における感染防止対策については、2012年に感染防止対策加算1・2が新設されました。感染防止対策加算の届出医療機関数等は以下のとおりで、2012(平成24年)に加算が新設されて以降、届出医療機関数は増加を続けています。



今回の改定では、現在の感染防止対策加算1・2の内容を強化し再編した形で、感染対策向上加算」1・2・3が新設されました。

感染対策

訪問助言

状況報告

サーベイランス参加

合計点数

感染対策向上加算1

390点→710点

指導強化加算

新設30点

740点

感染対策向上加算2

90点→175点

連携強化加算

病院30点

診療所3点

サーベイランス強化加算

病院5点

診療所1点

210点

感染対策向上加算3

新設75点

110点

外来感染対策向上加算

新設6点

10点

感染対策向上加算1は地域の感染防止対策の基幹的な役割を果たす大規模病院、加算2・3は加算1取得病院と連携する300床以下の病院が念頭に置かれています。
感染対策向上加算1病院が他の医療機関に対し、院内感染対策に係る助言を行うための必要な体制が整備されている場合には、指導強化加算30点が加算されます。加算1病院と連携している医療機関には、連携強化加算30点が加わることになりました。
また、院内感染対策サーベイランス(JANIS)、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)等、地域や全国のサーベイランスに参加している場合、サーベイランス強化加算5点が新設されました。
さらに、診療所の外来における感染防止対策を強化されるため、「外来感染対策向上加算」が新設されました。診療所は最大で、外来感染対策向上加算6点に加え、連携強化加算3点、サーベイランス強化加算1点の合計10点を算定できます。

新型コロナウイルス感染症の拡大ぶりを振り返るとき、感染症は昔の病気だと油断していたのではないかと自責の念に苛まれます。わが国はかつて、結核に立ち向かう中で保健所という素晴らしい組織を作り上げてきました。現在、全国津々浦々の保健所が力を発揮していますが、それを統括する仕組みとなると力不足と言わざるを得ません。一方で米国には、CDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)という強力な中央機関が存在しつつも、地方の隅々まで網羅されているわけではなく、それぞれ一長一短です。わが国では足元で省庁横断的な司令塔を設置する方向性も出されています。新型コロナを乗り越えなくてはならない今こそ、改めて公衆衛生を見直す必要があるのではないでしょうか。