Ando Weekly 2022.5.1
わが国の自殺者数は、2009年には年間32,845人でしたが、10年ほど減り続け、2019年には20,169人とおよそ3分の2にまで減少、1978年から始まった自殺統計で過去最少となりました。
厚生労働省と警察庁によれば、自殺者数は2020年に前年比3.7%増とリーマンショック直後の2009年以来11年ぶりに増加に転じ、2021年も前年比+0.35%と下げ止まり傾向を強めています。
男女別にみると、男性が12年連続の減少なのに対し、女性は2年連続の増加となっています。
自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きていると言われます。2021年は前年と比較して、経済・生活問題、家庭問題、その他、勤務問題が増加する一方、健康問題、学校問題、男女問題は減少しました。
自殺対策において、「ゲートキーパー」の存在が注目されています。ゲートキーパーとは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人のことで、言わば「命の門番」とも位置付けられる人のことです。
自殺対策では、悩んでいる人に寄り添い、関わりを通して「孤独・孤立」を防ぎ、支援することが重要です。1人でも多くの方に、ゲートキーパーとしての意識を持っていただき、専門性の有無にかかわらず、それぞれの立場でできることから進んで行動を起こしていくことが自殺対策につながります。
私は、ゲートキーパーが普及しないのは、ゲートキーパーになると24時間365日神経を研ぎ澄ましている必要がある点が大きいと思います。ゲートキーパーにも個人の生活がありますし、精神的に負担になりすぎないようゲートキーパーをフォローする仕組みを考えていくことが重要です。
また、忘れてならないのは、残された家族や関係者のフォローもしっかり行うことです。そこで私からの政策提言です。
提言1 「自殺総合対策大綱(平成19年6月8日閣議決定)」で重点施策の一つとしてゲートキーパーの養成が掲げられているが、例えば、複数のゲートキーパーが交代で担当する、電話だけでなくメールでのやり取りも活用して時間的な余裕を確保するなど、ゲートキーパー自身が孤立しないようにチームで自殺企図者を支える仕組みを盛り込む。
提言2 自殺で残された家族や友人等の関係者のケアやサポートを国の施策として制度化する。 |
〇相談窓口
●厚労省・こころの健康相談統一ダイヤル
電話0570-064-556(おこなおう まもろうよ こころ)
●いのちの電話
電話0570-783-556(なやみ こころ)
https://www.inochinodenwa.org/
●よりそいホットラインつなぐ
電話0120-279-338(つなぐ ささえる)