Ando Weekly 2022.5.8

政府では、人生100年時代を迎えライフスタイルが多様となる中、お年寄りだけではなく、子どもたち、子育て・現役世代の安心を支えていくため、働き方の変化を中心に据えながら、全世代型社会保障を検討しています。

2021年11月にスタートした全世代型社会保障構築会議の第4回会議が2022年4月26日に開催されました。

同会議は、政府が6月に取りまとめる予定の「骨太の方針」への反映を視野に、中間整理案について議論しました。

中間とりまとめのベースとなる「議論の整理」から、地域共生社会と医療・介護・福祉をご紹介します。

〇地域共生社会づくり

●多様な困難に陥っている方に対するソーシャルワーカーによる相談支援や、多機関連携による総合的な支援などにより、地域住民が地域で安心して生活を送ることができるようにすることが重要。

●今後、独居の困窮者・高齢者等の増加が見込まれる中にあって、医療・介護・住まいの在り方を一体として考えていく必要。

●ハードとしての住宅の提供のみならず、地域とつながる居住環境や見守り・相談支援の提供をあわせて行うことも重要。その際、空き地・空き家の活用やまちづくりの視点から各地方自治体において地域の実情に応じた対応を検討することが重要。

〇医療・介護・福祉サービス

ICTの活用により、サービスの質の向上、人材配置の効率化などを進めることが重要。

●電子カルテ情報及び交換方式等の標準化を進めるとともに、健康診断等で得られる個人の医療情報を、自分で管理・活用することができる将来像を見据え、個人・患者の視点に立ったデータ管理の議論も重要。こうした取組は、効率的な医療の提供や、患者の利便性の向上にもつながるとともに、創薬などの研究開発の促進にも資する。

●医療・介護提供体制改革などの社会保障制度基盤の強化については、「地域完結型」の医療・介護サービス提供体制の構築を進めるとともに、地域医療構想の推進などこれまでの骨太の方針や改革工程表に沿った取組を着実に進める必要。また、コロナ禍で顕在化した課題や得られた教訓も踏まえ、機能分化と連携の視点を一層重視した医療提供体制等の改革を進める必要。

これまで厚労省では、老健局が地域包括ケアシステムを管轄し、高齢者を対象とした医療と介護による街づくりを目指してきました。一方で社会・援護局は地域共生社会を担当し、障害を持った子どもや精神疾患の方、孤立・引きこもり等、あらゆる世代を対象としてきました。

私は再三主張しておりますが、老健局や社会・援護局といった組織の垣根を越えて、全世代型の医療・介護・福祉による街づくりを展開していくべきである。そのためにも、地域包括ケア基本法ないし地域共生社会基本法のような指針が必要だと考えています。

なお、政府が一億総活躍社会・人生100年時代・全世代型社会保障を掲げ、こども家庭庁の創設を決定するなど、高齢者に対する施策が手薄になっているのではないかとの声をよく聞きますが、政府・自民党は医療・介護・福祉の充実を通して年齢を重ねても安心して暮らしていける社会を目指す姿勢に変わりはありません。

 

提言1 高齢者だけでなく、小さなお子さん、障害や精神科疾患を持った方、孤独・孤立・引きこもり、貧困で悩む方も含めた地域共生社会を実現するため、厚生労働省の中に横断的な組織を設置する。

提言2  全世代型の医療・介護・福祉による街づくりに向け、地域共生社会基本法を制定して国の指針を明確にする。