Ando Weekly 2022.8.21

「親子で考える税と社会保障入門」シリーズでは、人生100年時代を歩むうえで必要となる税と社会保障に関して、親子で考える素材を提供しています。第2回のテーマは「平均寿命」です。

上表は平均寿命の推移を見たものです。「平均寿命」とは、0歳の乳幼児が生存するだろうと考えられる平均年数を指します。

2021年の平均寿命は、男性81.47歳、女性87.57歳で、女性の方が6.1歳だけ長生きです。実は2021年は、新型コロナの流行の影響を受けて、東日本大震災以来のマイナスとなりました。それでも日本は世界トップの長寿国です。

よく聞くのは、男性の平均寿命が81.47歳なのだから、現在55歳の僕は81.47-55=26.47年だけ生きる可能性があるという話です。これは間違いです。下表は年齢別の平均余命=今後何年生きられるかを見たものですが、55歳の男性はあと28.36年生きられることになります。

歳を取るにつれて少しずつ死亡のリスクをクリアしていくので、生存できる年数が増えるのです。

平均寿命は生活水準の向上や医学の発展等を背景に延伸傾向を辿っており、日本国民は長寿という人類長年の願いを実現しました。おいおい説明しますが、社会保障の充実のおかげで長寿になったことも忘れてはなりません。

一方で、平均寿命の延びにより高齢者が増加し、高齢化の要因になっていることは皮肉なことです。高齢化は社会保障制度の存立をも危うくしつつあります。私たちは、長寿社会と社会保障制度の両立を目指して政策を考えていく必要があります。

次回は、「平均寿命」と対で語られることが増えている「健康寿命」のお話です。