Ando Weekly 2022.3.6
オンライン診療とは、「リアルタイムでのコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いてオンラインで行われる診療や医学管理」を指します。最近では、スマートフォンやタブレットを使って医師から診療を受けることができるサービスも登場しています。
もともとオンライン診療は、対面診療の補完として、離島やへき地の患者等を対象に限定的に行われることが想定されていましたが、近年の情報通信技術の著しい進歩等を背景にオンライン診療に対する現場の要請が高まってきたことから、2018年度診療報酬改定で「オンライン診療料」等が新設されました。
さらに、2020年度診療報酬改定では、オンライン診療を開始するまでに必要な対面診療の期間が3ヵ月短縮されたほか、片頭痛や緊張型頭痛等の痛みにより日常生活に支障をきたす慢性頭痛も対象疾患に加わりました。
新型コロナ禍において、医療機関を受診する人が大きく減少していることを踏まえ、厚生労働省は2020年4月10日、初診患者で過去に一度も自院の受診歴がなく、他院からの診療情報提供もない患者に対する「電話・情報通信機器を用いた診療」を認めました。
下図は、電話や情報通信機器を用いた診療を実施できるとして登録した医療機関数及び初診から実施できるとして登録した医療機関数の推移を見たものですが、新型コロナ対応が出た2020年4月から5月にかけて急増しています。
ただ、6月以降、オンライン診療可能な医療機関数はほぼ横ばいで推移しています。
オンライン診療の場合、情報機器等の設備を用意する必要に加え、オペレーションや事務の手間も多くなるにも関わらず、対面診療より診療報酬が少ない状況が普及の壁になっているとの医療現場からの指摘があります。
2022年度診療報酬改定では、オンライン診療の評価が対面診療の点数の87%程度にまで引き上げられました。
|
対面診療 |
オンライン |
コロナ対応 |
2022改定 |
初診料 |
288点 |
- |
214点 |
251点 |
再診料 |
73点 |
71点 |
73点 |
73点 |
特定疾患療養管理料 |
255点 |
100点 |
147点 |
222点 |
オンライン診療を巡っては、診療報酬の議論のほかにも、オンラインによる医療の質の確保、IT格差、大企業による独占、マシントラブル等の課題が指摘されています。医療の質に関しては、診療時に聴診できないデメリットを将来的にはウエアラブルである程度カバーできるようになるかもしれません。引き続き、オンライン診療の議論を深めていきたいと思います。